冬の注意事項
寒い時期を控え、自宅でラジエーターの不凍液を補充したり入れ替えたりする人が多いです。
不凍液の主な成分であるエチレングリコールは動物を死に至らしめます。
甘い味と匂いのする物質で、動物にとって、とても魅力的なものであり、彼らは容器を噛んで開けてしまい、摂取してしまうことがあります。小型犬と猫は、ほんのスプーン2杯くらいを摂取しただけで致死量となります。
エチレングリコールを摂取すると、動物の脳に変化をおこします。そして腎臓に毒性があり、致死的な腎不全をおこします。
摂取後にみられる症状としては、酔っ払ったような行動(摂取後1-10時間以内)、うっとりする、気を失う、痙攣する、緑の蛍光物質を吐く、多尿、無尿、が見られ、ついには死に至ります。
もし、動物が不凍液を摂取したかもしれないと思ったら、すぐに動物病院に連れて行く必要があります。どれだけ早い処置ができるかが最も重要な鍵となります。
1-10時間以内の摂取であれば、血液検査で摂取したかどうかを確認でき、検査の結果が陽性であれば、エタノールか解毒剤を24時間持続的に静脈内に投与します。
腹膜透析はエチレングリコールおよび、血流内の毒性のある代謝物質を除去するのに有効で、腎臓へのダメージを防いでくれます。
摂取後12時間以上経過している場合は、エチレングリコールは血液中にはみられないため、腎臓に対しては補助療法のみの治療となります。
摂取防止が最善の治療法です。
・動物をガレージにいれない
・不凍液を見えない所に保管する。
・入れ替え容器から漏らさないようにする
・止め金か鍵のついた棚に保管する
・お店で不凍液を入れ替えてもらうようにする
自動車のフロントガラスのウォッシャー液にはメタノールが含まれています。
動物に対してメタノールは毒性があり、突然に失明します。エチレングリコールと同様に、これを摂取したイヌはまるで酔っているかのように行動し、興奮状態や、意識の消失がみられます。摂取後の時間経過が非常に重要であり、早急に病院にて処置が施されることで命が救われます。
夏物の衣類を冬に保管する際には特に注意が必要です。防腐剤(ナフタレンを含むもの)は動物、とりわけネコに対して毒性があります。
防腐剤を食べてしまったり、防腐剤をたくさん入れてクローゼットを閉めた際には、吸入によっても中毒は成立します。多くは嘔吐と呼吸困難を訴えます。血液中の変化として低酸素が生じ、肺もうっ血してきます。病院で早急に治療を開始しなくてはなりません。
低体温症や凍傷は、小動物においては氷点下になると数分以内に生じます。凍傷はイヌやネコでは、耳や尾、陰嚢、そして四肢に、簡単に生じます。
凍傷の徴候は、皮膚や四肢のパッドがまず紅潮し、しだいに白色、ないし灰色化して虚血状態となり、皮膚は鱗状になり、最終的に皮膚や四肢のパッドの表面が脱落します。凍傷部位はこすったりマッサージしてはいけません。温かく湿らせたタオルを用いて患部を温めてください。
患部が紅潮したらすぐに保温は中断してください。保温が終わったら、やさしく患部を乾かしてください。ペットを毛布で包んで体温を保ち、直ちに動物病院に搬送してください。
低温にさらされた動物が、精神の鈍化や重度の沈うつ、意識の消失がみられたら、低体温症の徴候かもしれません。皮膚は触ると一般的に非常に冷たいです。ペットを毛布で包んで保温につとめ、直ちに動物病院に搬送してください。温めた輸液を点滴し、まず心臓をゆっくりと温めます。この際、心臓の慎重なモニタリングが非常に重要となります。